症例紹介が続きますが、本日はこちらのケースです。

<初診日>

右の下が痛くなってきた、ということで来院された患者さんです。

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向かって左側の歯がむし歯だということはお分かりかと思います。

今回は真ん中の歯です。

各種診査をしたところ痛みの原因は左から2番目の歯。レントゲンではむし歯かどうかわかりません。

診査の日はここまで。次回に時間をとって治療を開始します。

<治療開始>

麻酔をして、かぶせてある冠を外したのがこちら。

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周りの青いのはラバーダムというんですが、治療をする歯だけを露出して唾液などからの感染を防ぎ治療に使用する薬液や治療道具による事故を防いでくれるとても重要なステップです。ただし、これを装着すればいいってものでもありません。

また、外してみたところ、かなりむし歯が進行して広がっているのがわかります。これを丁寧に除去するわけですが、健康な歯を余計に削らずに悪いところだけを削るのは結構大変で、マイクロスコープがないと削りすぎたり、もしくは悪いところが残ってしまったりで大変です。

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このようにむし歯をとっていきます。え?真ん中にむし歯が残っているよって?いいところに気づきました。これはわざと残してるんです。ここを削ってしまうと神経の部屋が露出してしまいますので、わざと一層残して…

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ボンディング操作(接着前処理)をして…

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専用のレジン(プラスチック)で壁を作り…

 

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あらかた作り終わったところです。この壁は根管治療に使用する薬剤が漏れたりすることを防いだり、仮封(仮のフタ)をしっかりと行えるようにして、安全に治療を進めるために非常に重要なステップです。

この壁の作成が終わったら、いよいよ治療開始!

というわけではございませんで、

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歯とゴムシートとの隙間を埋めるコーキングを行って、

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歯と歯の周りのゴムシートを消毒して…

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さらに仕上げの消毒をして…

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これで治療の準備が完了です!

ここまでざっと30分!自慢じゃないですけど結構速い方だと思います。(笑)

さて、ようやく治療開始!

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ちょっとぼけちゃってますけどここで先ほど残っていたむし歯を完全に除去していくわけです。

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むし歯を除去して神経の部屋が見えてきました。

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こんな道具や…

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様々な器具を使って…

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根の管の入り口を見つけていくわけです。

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中を洗浄液でよく洗って…

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あれ?もう一つ入り口あるかな?などと探して、確認して、洗って…などを注意深く行って入り口を見つけてスムースに治療を進めていくことに30分。今回はさほど複雑でなかったのでこれくらいで済みました。

根の中を先まで確認して…

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中の掃除をして、終了。治療の時間はトータルで75分程度。

もちろん、麻酔をして、麻酔が効くまでの時間や、治療後の説明の時間もありますからそれまで含めると90分。

<治療2回目>

前回の治療の見落としなどを確認して洗浄して、根管の中を塞ぐ材料で確認。

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良さそうですね、ということで根管充填。(根の中を塞ぎます)

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今回は治療自体は50分ほど、準備と術後の説明を含めて60分。

 

2回の通院で根管充填まで行えましたが初回が90分で、2回目が60分。

長いですか?確かに時間だけ見れば長いと思います。でもルールに則った治療をするにはこれくらいの時間が必要なんです。

時間を短くするには何かを犠牲にしないとダメだと思います。

健康な歯も含めてエイヤッとごっそり削ってしまうとか、むし歯を残して治療をするとか。

もちろん、きちんとやって短い時間でもできる先生はおられるでしょうが、僕には上記のようなことをしない限りささっとはできません。

健康な歯も含めてごっそり削ってしまえば歯が割れてしまうリスクが高まってしまうし、むし歯を残してしまえば治療のゴールが遠のきます。(根の病気の原因は細菌の感染です。むし歯が残っている、ということは細菌がたくさん残っているということなのです。)

健康な歯をできる限り残してむし歯を丁寧に除去するには時間の確保も非常に重要なことなのです。

ですから、当院では初診時の治療着手はよっぽどのことがない限り行い(行え)ませんし、治療時間に対しての遅刻やキャンセルに対してもご確認をお願いしております。

不便なこともあろうかと思いますが、病気を治すためにご協力お願いいたします。

院長:高橋