色々と振り回されることの多かった本年もそろそろ終わりが近づいております。振り返るとうちに閉じこもってばかりいた印象ですが、もうそろそろ様々な活動が再開されることを祈るばかりです。

 今回はCT画像から。

 歯を取り囲む骨がなくなっていることがわかります。

 正直、この状態では抜きましょうと言って抜歯しても誰にも批判されないと思います。多くの歯科医院では抜歯の選択をされることの方が多いのではないか、とも思います。

 この患者さんのかかりつけの先生は、「残せる可能性があるかもしれない、歯を残したいご希望があるのであれば、一度相談してみてはどうでしょう?」と患者さんに提案され、当院にご紹介いただきました。

 診査してみるとかなり動揺(ぐらぐらしていて安定しない状態)もかなりあり、ちょっと厳しいかな…という印象ですが、歯が割れてるわけではなさそう。治療の余地はあると判断し患者さんに治療によるメリットデメリット(自由診療であること、治療してみたら破折や解決できない問題を発見し抜歯になる可能性があること、治療したとしても機能し始めてから破折等の可能性があること等)を説明して患者さんも同意され治療することになりました。

 

 治療後半年。すごくないですか?こちらとしてもとても嬉しい経過です。
 かなりダイナミックに治癒像を得られまして、動揺もすっかり治り患者さんもとても喜んでくれました。

ならべてみましょうか。

 「お!よかったですねぇ、だいぶいい感じで治ってるんじゃないですかね」

 「いや本当ありがとうございます。」

 「それにしても〇〇先生に受診されてよかったですね、もちろん患者さん自身の決断も大きかったですけど普通抜歯しましょうって言って抜歯して終わりですからね、ホント〇〇先生診断力すごいわ」

 「いやぁ〇〇先生に受診してよかったです。歯医者選びは難しいです。」

 なんてやりとりがあったわけですが、確かに歯医者選びは難しいのではないかと思います。

 でも実は歯医者選びに重要なのは(自分がどうしたいのか?)を明確にすることです。

・自分の歯をできる限り残したいのか
・費用よりも治療の精度を優先したいのか
・治療に対する不安を解消したいのか
・現在の状況を自分自身で把握したいのか

 など患者さん自身それぞれどうしたいのかわからないまま受診すると後悔することに繋がるのではないかと思います。

 今回のケースも保険治療の範囲で治療したい、となれば抜歯が選択されるでしょうし、リスクがあっても歯を残す可能性にチャレンジしたい、となれば根管治療の選択なんでしょうが、どちらの選択も正しいわけです。

 歯科医院選びの第一歩は自分自身がどうしたいのか?を明確にすることではないかと思います。
 ご自身に合った歯科医師と出会えることをお祈りしております。

 このケースは僕もとても嬉しいので、データまとめて講演、学会等然るべきところでも発表させていただこうと思います。
 それではみなさま、良いお年をお迎えください。