~根尖性歯周炎による慢性炎症について〜
痛みや腫れなどの自覚症状がなく、ゆっくり静かに起きている炎症を慢性炎症といいます。
痛みや腫れを伴う急性炎症とは違い、慢性炎症は私たちの身体の中に、私たち自身が全然気づかないうちに膿や病巣を形成し、長い時間をかけてだんだんと組織を破壊していきます。
感染した根管で繁殖した細菌は、歯根の根尖(根の先)から顎の骨の中へと広がり、迎え撃つ免疫細胞との戦いを繰り返しながら病巣を形づくります。
根尖病変(根の先の炎症)は根管内に感染した細菌が原因です。
自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに拡大し続けた根尖病変は歯を支えている骨を大きく破壊して、痛みや腫れが出て自分自身で気づいた時にはすでに手遅れになっていることも少なくありません。
私たちの身体には免疫力がありますので、健康体であれば休養することで体内から細菌を追い払う事ができます。
しかし健康体であっても、血液の流れが無い根管内の細菌は人間の手を加えなければ追い払えません。
抗生剤(化膿止め)を飲んだとしても、血液の流れが無い根管の中には届きませんし、痛み止めの薬で一時的に不快症状が取れたとしてもただ単に慢性炎症に戻るだけで、問題の解決にはなりません。
根管内の細菌を徹底的に排除(根管治療)しない限り再治療、再々治療、再々々治療…と抜歯するまで終わること無く延々と繰り返されます。