かぶせものと根の治療は別ではないですか?
どういうことでしょうか?と思ったアナタ、当然の疑問だと思います。
根管治療(根の治療)と補綴治療(かぶせもの)、別なものと思われがちです。
根管治療(根の治療)=歯の中の治療
補綴治療(かぶせもの)=歯の外の治療
その認識は正しいのですが、1本の歯としては中でも外でも全部ひっくるめて、「歯」なのです。
ここに興味深いデータがあります。
根管治療(根の治療) | 補綴治療(かぶせもの) | 成功率 |
Good | Good | 91.4% |
Poor | Good | 67.6% |
Good | Poor | 44.1% |
Poor | Poor | 18.1% |
Ray HA, Trope M. Int Endod J 1995
根管治療(根の治療) | 補綴治療(かぶせもの) | 成功率 |
Good | Good | 81% |
Poor | Good | 56% |
Good | Poor | 71% |
Poor | Poor | 57% |
Tronstad L.,et al. Endod Dent Traumatol 2000
1995年と2000年に発表されたデータですが、根管治療(根の治療)の予後(治るかどうか、健康状態を維持できるかどうか)を左右する要素として補綴(かぶせもの)が影響を及ぼす、との報告があるのです。
以上を踏まえての今回のケースがこちら。
別に悪い感じに見えないですかね?ちょっと根もとにつぎはぎのような感じが見られますけど痛くも痒くもないんです。ただ、本人は歯の形が今までと比べると長いのが気になるのでやり直したい、というご希望で来院されました。
レントゲンにて診査をしてみます。
この状態だと健康状態を長期に維持するのにちょっと不安が残ります。
補綴(かぶせもの)が合ってない、段差があるような状態ですと歯の清掃が十分に行えなくなりプラークコントロール(歯の汚れのコントロール)が不十分になって新たなむし歯を作ったり、スキマから細菌が侵入してせっかく根管治療(根の治療)をした歯の健康状態を損ねることにつながってしまいます。
今回は現在の状況と治療計画を提示して治療を行った場合の将来の見通しについて説明し、治療を受ける決断をしていただきましたので、「きちんと」押さえるところを押さえてしっかりとした治療を行いました。
いかがでしょうか?当院は特別審美的に自信があるわけではありませんが、しっかりとやるべきことをやった治療をすることで、日々の清掃がしやすくなり、結果として新しいむし歯を予防したり、根管治療(根の治療)の後の健康状態の維持に対して大変有利であると言えます。
見た目はこちら。
治療前と比較してみましょう
患者さんの気になっていた歯の長さも気に入って頂け、見た目も中身もしっかりとした治療はする方もされる方もスッキリと気持ちのいいものです。
これからは健康な状態を維持できるようしっかりと予防していきましょう!
良いお年を!
院長:高橋