第35回日本歯内療法学会学術大会①はこちら

 

土曜日の朝です。

1日ずっと座っている状態も久しぶりでしたがそんな時間を忘れさせるような素晴らしい講演が続きます。

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まずは東京医科歯科大学の名誉教授の須田先生の「わが国の歯内療法の現況と将来」という講演でしたが保険制度下における成功率の現況とラバーダム装着率の現況、近年の歯内療法を取り巻く環境の変化とそれに対してどのように我々が対応していくべきなのか非常に興味深い、なおかつ気を引き締められる、そんな講演でした。実は須田先生、同じ伊勢崎出身ということで勝手に親近感を覚えております。以前ご挨拶させていただく機会がありましたが思わず「伊勢崎開業の高橋です!」と話しかけることが出来まして気さくに接して頂けまして大変ありがたかった記憶があります。

その後阿部先生の「Protaper NEXT & WaveOne近年のNiTiロータリーファイルの傾向、その症例選択及び安全な使用方法について」の講演を拝聴しました。

NiTiロータリーファイルというのは根の治療を行う際に使用する針のようなもののことなのですが、今まではステンレス製の硬いものを使用していたのですが、現在はそれに取って代わってNiTi(ニッケルチタン)製で弾力性が高く柔らかいものが普及しつつあります。治療行程の全てがNiTi製のものというわけには行きませんが、NiTi製の治療器具を使用することによって根管(根の管)の通り道を塞いでしまったり、通り道に余計な道を作ってしまったり、傷を付けたりしてしまうエラーを最小限にとどめることができるようになってます。ただ、NiTi製の治療器具は取り扱いが非常に難しく十分な専門的トレーニングを行った術者が使わないと余計に傷がついてしまったり治療器具自体が折れて歯の中に残ってしまったりすることもあるのです。少し乱暴ですが例えて言うならば今まで石で調理していたものによく切れる包丁が出現してきた、と言えるのかも知れません。多数のメーカーがより良いNiTiファイルを開発しておりまして現在は第5世代までに進化しており事故を最小限にすることができる(と言われている)環境になりつつあります。

そのようなNiTiファイルの過去から現在、また未来への展望を紹介しつつ最新のNiTiファイルの特性、特徴、安全な使用方法と適切な症例選択、と多岐にわたる内容でこの講演も非常に勉強になりました。

新しい道具というのは治療の方法や効果が変わることもさることながら治療そのものの概念さえ変えてしまうことがあり頭を常に柔軟にしていかないとなかなかついていくのも大変なことなんです。ただし、新しい物に飛びついていくだけでもそれはそれで無謀なことで患者さんに迷惑もかかってしまいますから十分に安全性や効果を研究されたものを吟味して使用する、というスタンスも忘れてはいけないことです。ちなみに阿部先生、とあるセミナーでご一緒させて頂くことがあり、当時僕はジョギングのどこが楽しいのかわかりませんでしたが阿部先生の「ジョギング、ランニングは5~6㎞過ぎたあたりからが一番楽しいんですよ」と教えて下さりなるほど…と思ったものです。今は週に何日かジョギングしていますが、阿部先生の言葉をふと思い出すこともあります。なんでセミナーでそんな話になったのかはアレですけど阿部先生はダンディで素敵な先生、ということは間違いありません。(長くなりましたので続きます)

院長:高橋宏征