今月よりCBCTを導入いたしました。

CBCT(コーンビームCT)は2014年時点で約10%程度の普及率らしく、2018年でどのように普及しているかわかりませんがCT設置医院の仲間入りを果たしました。

CTは非常に優秀な画像診断機器であり、

医療における CT の役割は,二次元(スライス)画像に よる生体組織や病変の観察,あるいは CT 値を基にした組織や病変の評価といった Observation(観察)からはじまった.やがて,医療技術とコンピュータ(情報処理)の進歩によって,CT画像が各種手術・放射線治療などの治療計画,すなわちSimulation(シミュレーション)に利用される様になり,さらには,CT画像上で手術野をガイドしたり,治療に用いる治具を製作したりする Navigation(ナビゲーション)の段階に進んでいる.

歯科画像診断の最新事情 勝又明敏 – 医用画像情報学会雑誌, 2014

というわけで画像診断のみならず治療計画やナビゲーションにまで発展している現在の医療では必須のデジタル画像情報処理です。

もちろん当院でも他の歯科医院と連携してCBCT装置を導入している歯科医院でCBCTを撮影していただいて画像診断をして、治療に当たる、ということは少なくありませんでした。

しかしながらなぜ現在まで導入しなかったのか?

理由はもちろん様々な理由から導入を見送っていたわけですが、導入に踏み切れなかった主な理由は”撮影範囲の大きさ”と”撮影対象による画像の質”です。

CBCTの撮影目的の多くが外科治療、すなわちインプラント治療や抜歯や歯周病治療などの「顎骨や歯牙」を目的としていることが多くその目的を達成するための撮影画像、ということなんです。当院でも外科的歯内療法の際には手術を安全に行えるようにCTを撮影していただいてます。

しかしながらそのCBCT撮影の目的は”顎骨や歯牙の位置、また解剖学的なランドマークの確認”であり、通常の歯内療法(根の治療)ではルーチンに撮影するようなことはなかったのです。とはいえ、根の湾曲が強かったり吸収や穿孔など難症例には撮影することはあります。

“顎骨や歯牙の位置、また解剖学的なランドマークの確認”が主な目的となるCTでは比較的撮影範囲が広くなり、画像の質もそれなりというものが多かったように思います。(ここは個人の感想です)例えて言うならば集合写真と証明写真の違いでしょうか?

外科的な治療では集合写真とのような全体が写っていないと治療になりませんが、歯内療法(根の治療)では、その歯の中の根管が対象となりますので全体が写っているよりも個人(一本の歯)がしっかりと写っているものが必要なのです。

今回、導入に踏み切ったのはボクセルサイズ(立体における画素)が小さく(0.08mm)、FOV(撮影範囲)が小さい設定ができ、X線を水平照射することでアーチファクト(画像のノイズ)が少ないというまるで歯内療法用の機器が発売された、ということを伺ったからです。

(もっとも、アーチファクトで一番影響するのはモーションアーチファクト(患者さんが動いてしまうこと)で機器の性能では賄えない部分ですが)

実際撮影してもらって見た所なるほどキレイ、今まで他の歯科医院で撮影された複数のCTメーカーの画像と比較して(連携歯科医院が多いため様々なCT画像を見る機会があるのです)もトップクラスでこれは!と判断したためです。

導入後早速CBCTに助けられた症例をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

なんとなくモヤモヤっとした感じがするんです…とのことで以前通常のレントゲン撮影をしたものです。

過去に治療した、ということはわかりますが根の先に病気があるのかどうかはっきりしません。

症状もはっきりせずレントゲン画像でもはっきりしませんので、まぁ様子みましょうか?ということで経過をみていたのですが、気になることもあるようでCBCT撮影してみました。

 

 

…なんということでしょう。

通常のレントゲンでは確認できなかった未治療の根管(左上、左下の矢印)を確認することができ、なおかつ広範囲に広がった病変(右下の矢印)も確認することができました。治療に着手することに合理的な理由があります。「どうします?」「もちろん治療をお願いします!」ということで治療着手です。

日々医療も進歩していることを実感したケースですが、実際にこのようなこともありますので「違和感があるが様子みましょうと言われた」「心配な部位がある」と言う場合は一度診査してみてはいかがでしょうか?

 

 

院長:髙橋